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大好きな演歌歌手:山内惠介さんのこと、中国俳優:馮紹峰さんのことや日々の暮らしを思うまま書いてます


by オバちゃん
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蘭陵王SS ”羊の煮込みは・・・”

蘭陵王SS9話目です、今回はすこし会話もあります。

”羊の煮込みは・・・”

鄭児の策に嵌められ夫婦の仲を引き裂かれそうになった蘭陵王と雪舞
その鄭児が去った蘭陵王府にはふたたび平和な日々が訪れていた。

配下の者達をねぎらう為の付き合いも、今は弟安徳王や部下の楊士深にまかせ、雪舞との新婚生活をやり直すため政務を終えると一目散に愛しき新妻の待つ蘭陵王府へと帰って来る夫長恭。

馬車が止まった音を聞いて、雪舞が門前にある階段を駆け下りてきた。
『殿下おかえりなさい、お疲れ様!』と明るく弾む声と笑顔が出迎えてくれる
『ただいま帰った、今日は何事もなかったか?体の方は大丈夫か?』と心配そうに問う夫に
『わたしなら大丈夫よ、そんなに心配しないで皇太后様から頂いたお薬を飲んで、ほらこのとおりすっかりよくなったわ』と微笑む。
夫蘭陵王の馬賊退治に協力するため病をおし駆けつけてくれた妻は、さまざまな苦難を強いられた後(のち)ようやく王府に戻り安堵したのだろう、その後2日ほど熱を出して寝込んだ。
鄭児のことでは自分にも責があったと皇太后自らが雪舞の見舞いに訪れ、宮中の侍医に処方させたという貴重な薬まで持ってきてくれた。

『それよりも今日は殿下のために一日掛けて一生懸命料理を作ったのよ、さあ早くお食事にしましょ・・』と夫の腕を掴むと嬉しそうに部屋へといざなう
食台の上にはすでに数多くのごちそうが並べられていた。
『さっ早く食べましょ』と即す雪舞に
『これを全部君が作ったのか?』と驚くと共に、そばにいた小翠に疑念の目を向ける主(あるじ)
『そうです殿下、わたくしをはじめとして他の侍女たちも誰一人手伝ってはおりません。今日は奥様がお一人ですべてを作られたのです』と手伝ったはずと疑われた小翠が言う。
『そうよ、殿下をびっくりさせたくて全部自分で作ったのよ』
『君がこれだけの品を作れるとは・・・病み上がりというのにさぞや大変であったろう、どれを見ても美味しそうだな、どれどれさぁどれから食べよう?これだけあると迷ってしまうな』と長恭が並べられた数々の料理を見渡してみると・・・・
夫婦が諍う元になった”あの羊の煮込み”がどーんと大皿に盛られ、食台の中央に置かれてる。
『雪舞この料理はもしや・・・・』とこまった顔で妻の顔を見返す夫に
『そうよ羊の煮込みよ、殿下はこれが大好物だったでしょ、わたしにはけして鄭児のような味は出せない、だから一日掛けて一生懸命作ったの、さっ遠慮せずに食べて』と余裕の顔をして雪舞が夫を見つめる。
『いや、せっかくだが遠慮しておこう・・・』と長恭の箸は羊の煮込みを避けて、雪舞が唯一得意とする魚の揚げ物を選んだ。
『んん~うまい雪舞これはなかなかの物だ、いつの間に君はこれほど腕をあげたんだ』と舌鼓みを打つ夫を眺めているうちに嬉しくて自然と涙ぐんでしまう雪舞。

本当のことを言うと、羊の煮込みは雪舞が作ったものではなかった。
朝早くに皇太后様が『粛の好物だからと』王宮から使いを寄こして羊の肉と希少な香辛料を差し入れてくれた。
その羊の肉だけは小翠に頼み煮込んでもらったのだ。
羊の肉を見ただけであの鄭児にはめられた辛かった過去を思い出し、どうしても自ら調理することが出来なかった。

(そうあの日馬賊退治の一件で、責務の上とはいえ、殿下は鄭児を娶ると言った、あの日の言葉がいまだに耳から消えない・・・でも
『ささいな事で嫉妬しおって、そのようなことでは蘭陵王を守れぬぞ?』と。また夢の中でおばあ様に叱られてしまう、だめよ忘れなきゃ、蘭陵王は民のものけして独り占めは許されない)と自らに言い聞かせる雪舞の目にはしらぬまに涙がにじむ
『雪舞、どうした泣いているのか・・鄭児の事では君にたくさん辛い思いをさせてしまった、君がわたしのために傷兵村に力を注いでくれていたことも知らずに、浅はかなわたしはあの鄭児の言葉の方を信じてしまった。そのあげくに君をあんな危険な目にあわせてしまった。本当の世間知らずは君ではなくこのわたしの方だった、すまない雪舞、もう二度と君を離しはしない』と懺悔の言葉を繰り返す夫であった。

そして小翠の作った羊の煮込みは結局その日の夜に(蘭陵王夫妻以外の)屋敷の者達すべての腹に納められたのだった。
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食事を終えた、その後・・・
羊の煮込みである出来事を思い出した長恭

夫婦の寝所に用意された大きな湯桶の前で『やめてお願い殿下、いや~恥ずかしい、いや~やめて~』と必死に抵抗し叫ぶ妻を無理やりに抱きかかえた夫がいた。
『君が作ってくれた羊の煮込みのおかげだ、そのおかげでわたしはこんないい事まで思い出した、やはり今宵の私が一番食べたかったのは・・・・』と言いかけて、抱きかかえた雪舞と共に花びらが浮かぶ大きな湯桶へと入っていく長恭だった053.gif
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羊の煮込みにもいい思い出があったのですよね、よかった(あくまで殿下的にですが)
おしまい
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by syouhou36 | 2015-10-19 02:08 | 蘭陵王SS | Comments(0)