蘭陵王SS ”阿土と氷児”
2015年 09月 23日
こんばんは
シルバーウィークもあっと言う間に過ぎて、明日からまた現実の世界へと引き戻されます。
たいした物でないのにさぼっていたお弁当も30分は早起きしていれないと・・・・
と、我が雑事はさておき、懲りずに妄想の翼を拡げ蘭陵王SSを披露させていただきます。
意にそわぬ方はどうぞスルーしてくださいね。
”阿土と氷児”
延宗と小翠に惜別の文だけを残し斉の庵から姿を消した蘭陵王一家
彼らはいったい何処へ消えてしまったのだろうか・・・・
周が進軍して斉は滅び、斉の皇族である延宗は今は名目上周の賓客という立場となった。
だが事実上は周が与えた古い小さな屋敷で、妻の小翠と共に幽閉されていた。
消えた兄一家を探したくとも、たえずその日常を見張られ、昔の家臣に頼みたくともまったく身動きが取れずにいた。
今はまだ幽閉で済んではいるが、いつ皇帝からの命が下り残された高一族が誅滅させられるか、残された者の中には誅殺におびえすぎて気がおかしくなる者さえいた。
その頃、高長恭とようやく傷の癒えた妻の雪舞と赤ん坊の平安は、斉の庵から姿を消した後、
半月あまりをさすらい旅した後、ようやく人里離れたある名も無き村へとたどり着いた、その村は雪舞の故郷である白山村にどこか似ていた。
そこに住まう村人たちは、蘭陵王と天女と呼ばれた楊雪舞の名前だけはさすがに知ってはいたが、さいわい誰一人としてまことの姿を見たことがなかった人々達であった。
この村にたどり着くまでに訪れた数々の街や村で『蘭陵王は暗君に嫉妬をされて無実の罪を着せられ殺された。妃の天女さまは妖女の皇后に殺されかけて周に逃げ延び、周の皇帝の側妃になって今では皇帝のご寵愛を一心に受けて、周の宮廷で幸せに暮らされている、』と噂しあっていた。
『皇帝と皇后が愚かなことをしたから罰が当り斉の国は滅んでしまった』と噂する者までいた。
村長からの許しをもらい、長恭達一家は村はずれにある廃家を譲り受けて、長恭自らが普請しそこで彼らの自給自足の民の生活が始まった。長恭は阿土と、雪舞は氷児と名を改め・・・・
やがて2年の年月が流れて・・・・
やんちゃに走り回る平安を連れて、今にも生まれそうな大きなお腹をかかえた雪舞が、家の裏の小川で釣りをする夫に昼餉を運んできた。
『そろそろお昼にしましょう~どう魚は釣れた?』とほほえみ籠を覗きこむ妻に
『ああ、見てくれ、ほらこんなにいっぱい釣れたぞ、当分夕餉のおかずには困らないだろ』と得意げにいう夫。
蘭陵王府で暮らしていた頃とは比べようもない慎ましい村の暮らしであった、だが親子三人にとって今の暮らしは、二人が夢にまで見た幸せそのものだった。
阿土は剣を鍬(くわ)に握り替え毎日田畑を耕し、裏山の木を切り造作し家財を造り、村人達に頼まれれば、鉄を加工し農具や鍋まで造る。(鍛冶はあの仮面造りで玄人はだしの腕前)
なんでも器用にこなす頼もしき夫であった。
氷児は平安の子育てに追われながらも裏山に登り薬草を摘んで来ては傷薬や腹痛の薬を作り村人達に無料で薬を分け与えている、暁冬村いた頃のように村人たちに野菜が沢山取れるようにと土の改良まで伝授している、
そして大きなお腹をかかえ氷児が今日も裏山に行こうとしたそのとき、その身に突然陣痛が始まった。
つづく
シルバーウィークもあっと言う間に過ぎて、明日からまた現実の世界へと引き戻されます。
たいした物でないのにさぼっていたお弁当も30分は早起きしていれないと・・・・
と、我が雑事はさておき、懲りずに妄想の翼を拡げ蘭陵王SSを披露させていただきます。
意にそわぬ方はどうぞスルーしてくださいね。
延宗と小翠に惜別の文だけを残し斉の庵から姿を消した蘭陵王一家
彼らはいったい何処へ消えてしまったのだろうか・・・・
周が進軍して斉は滅び、斉の皇族である延宗は今は名目上周の賓客という立場となった。
だが事実上は周が与えた古い小さな屋敷で、妻の小翠と共に幽閉されていた。
消えた兄一家を探したくとも、たえずその日常を見張られ、昔の家臣に頼みたくともまったく身動きが取れずにいた。
今はまだ幽閉で済んではいるが、いつ皇帝からの命が下り残された高一族が誅滅させられるか、残された者の中には誅殺におびえすぎて気がおかしくなる者さえいた。
その頃、高長恭とようやく傷の癒えた妻の雪舞と赤ん坊の平安は、斉の庵から姿を消した後、
半月あまりをさすらい旅した後、ようやく人里離れたある名も無き村へとたどり着いた、その村は雪舞の故郷である白山村にどこか似ていた。
そこに住まう村人たちは、蘭陵王と天女と呼ばれた楊雪舞の名前だけはさすがに知ってはいたが、さいわい誰一人としてまことの姿を見たことがなかった人々達であった。
この村にたどり着くまでに訪れた数々の街や村で『蘭陵王は暗君に嫉妬をされて無実の罪を着せられ殺された。妃の天女さまは妖女の皇后に殺されかけて周に逃げ延び、周の皇帝の側妃になって今では皇帝のご寵愛を一心に受けて、周の宮廷で幸せに暮らされている、』と噂しあっていた。
『皇帝と皇后が愚かなことをしたから罰が当り斉の国は滅んでしまった』と噂する者までいた。
村長からの許しをもらい、長恭達一家は村はずれにある廃家を譲り受けて、長恭自らが普請しそこで彼らの自給自足の民の生活が始まった。長恭は阿土と、雪舞は氷児と名を改め・・・・
やがて2年の年月が流れて・・・・
やんちゃに走り回る平安を連れて、今にも生まれそうな大きなお腹をかかえた雪舞が、家の裏の小川で釣りをする夫に昼餉を運んできた。
『そろそろお昼にしましょう~どう魚は釣れた?』とほほえみ籠を覗きこむ妻に
『ああ、見てくれ、ほらこんなにいっぱい釣れたぞ、当分夕餉のおかずには困らないだろ』と得意げにいう夫。
蘭陵王府で暮らしていた頃とは比べようもない慎ましい村の暮らしであった、だが親子三人にとって今の暮らしは、二人が夢にまで見た幸せそのものだった。
阿土は剣を鍬(くわ)に握り替え毎日田畑を耕し、裏山の木を切り造作し家財を造り、村人達に頼まれれば、鉄を加工し農具や鍋まで造る。(鍛冶はあの仮面造りで玄人はだしの腕前)
なんでも器用にこなす頼もしき夫であった。
氷児は平安の子育てに追われながらも裏山に登り薬草を摘んで来ては傷薬や腹痛の薬を作り村人達に無料で薬を分け与えている、暁冬村いた頃のように村人たちに野菜が沢山取れるようにと土の改良まで伝授している、
そして大きなお腹をかかえ氷児が今日も裏山に行こうとしたそのとき、その身に突然陣痛が始まった。
つづく
by syouhou36
| 2015-09-23 23:17
| 蘭陵王SS
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